ピンクサロン
「サロン」はもともと談話を楽しむ社交の部屋という意味だそうです。
そこに「ピンク」という言葉がついたことで、怪しい談話室みたいなものを想像させます。
ピンクサロンは接待飲食店から派生したサービスであり、性的サービスの程度としては、店舗型性風俗営業よりも刺激が少ないサービスという位置づけになります。
しかし、あくまで程度の問題なので、徐々に営業内容が過激になる傾向があり、結果的に店舗型性風俗営業と区別しにくくなることがあります。
風俗営業1号の社交飲食店許可を受けているが
風営法の規制を受ける営業にはいろいろな業態があるにせよ、一般的にこの営業は、食品衛生法の飲食店営業の許可を取得しているので、店内では形式的に飲み物を提供していることが多いです。
多くの場合、社交飲食店の風俗営業許可を取得して営業していると思われますが、その実態が一般の社交飲食店と異なり、性風俗営業に近いような卑猥なサービスを行うケースが多いです。
店舗件数は都道府県によりかなりばらつきがあります。
営業実態も地域により異なる部分があります。
実態は様々な法的問題を抱えている営業
法律的にはほぼブラックといってよい特殊な営業形態です。
風俗営業の許可といっても、ピンクサロンのような性的サービス営業は違法性を含んだ営業ですので、風俗営業許可が取れたから大丈夫というものではなく、様々な法令違反により警察に摘発される事例が多数あります。
店内照度を暗めに設定したり、客室内の見通しを妨げるための仕切り等を設置することにより、構造設備維持義務違反となっている場合は風営法違反営業として、またはその営業方法が都道府県風営法施行条例で禁止される「卑猥行為等」にあたるとして営業停止処分を受けることがよくあります。
東京都風営法施行条例
(風俗営業者の遵守事項)
第7条 風俗営業者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
①営業所で卑わいな行為その他善良の風俗を害する行為をし、又はさせないこと。
構造設備の設置や撤去などにより、構造設備の無承認変更で摘発される場合は刑事罰のや営業許可の取り消しもありえます。
最近は、客と従業員、経営者等が刑法上の公然わいせつ罪で身柄を拘束されるケースが増えています。
刑法
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
ピンクサロンはなぜ風俗営業なのか
ピンクサロンの実態は性風俗サービスと変わらない、という話もあります。
どうせ違法営業であり、警察から摘発を受けるのだから、わざわざ風俗営業の許可を受ける意味はないのではないか、という考え方もありえます。
たしかに、風俗営業許可は取締り官庁である公安委員会(警察)に許可を申請して営業許可を取得するのであり、許可後の営業においては風営法の規制を受け、警察職員の立ち入りも受けます。
しかし、もし風俗営業許可がない状態で性風俗的サービスを行っていたら、そのサービスは少なくとも接待を含むサービスなので社交飲食店(風俗1号)の無許可営業となり、これは通常、発見され次第、逮捕罰金につながる重大犯罪です。
しかし、風俗営業許可を取得している場合は、風俗営業者である以上、行政処分の量定にしたがって、その悪質性に比例して行政処分を受けることになります。行政処分は営業停止や許可取り消しなどですが、無許可風俗営業の場合の一発逮捕罰金という結末に比べれば、確率的にはるかにマシということです。
しかも、店舗型性風俗営業として開業しようとしても、この営業は特殊地域の、しかも保全対象施設の影響を受けない、ごくわずかな場所でしか新規開店ができませんが、風俗営業であれば、繁華街で保全対象施設の影響を受けない場所で出店できます。
こういったメリットとデメリットを比較したうえでピンクサロン営業を選択するケースがあるのだと思われます。
警察としては、営業実態が性風俗関連営業と同じなってしまうことは絶対に認められませんので、営業実態が過激になれば、当然ながら取締りを強化せざるを得なくなります。